哀 1

 

          5月30日 妙子が死んだ。
妙子のお寺

48歳。腎臓結石粉砕術にて入院中に心筋梗塞を引き起こし心不全での急逝。

妙子とは坊主仲間では特に古い付き合いである。    若くして親との別れ、本堂の移転新築他、女手一つで良くやった。本当に苦労を背負って生まれて来た妙子であった。
 

妙子の身体は病のデパ-トだった。病気の事は余り話さなかったが、密かに入退院を繰り返していた。 長い間随分苦しかっただろう。
だるい身体でも、いつも冗談が通じ、いいケンカ相手だった。

お勤めは冗談にでもうまいと言えなかったが、道具物(鳴り物)は抜群のセンスを持っていた。金の打ち方を一つだけ伝え忘れた。心残りだ。

妙子は退院予定日に死んだ。1組の稚児係りがいなくなった。 ケンカ相手がいなくなった。

妙子よ なぜ死んだ 久し振りに泣いた。 心の底からからつらかった。

お悔やみ、お通夜、葬儀、野辺。涙が止まらなかった。 妙子、お浄土は忙しかろう・・・。

如来様とケンカをしないようにナ! 俺が行くまで首を長くして待ってろョ!妙子。